セイコー化成のエンジニアは毎日、どんな仕事をしているのだろうか。
「いろんな樹脂の重合を実験するんですが、ウレタン樹脂系のスエードの場合、100種類くらいは実験しましたね。やり方はこうです。まずフラスコにいろんな素原料を入れて、重合させます。
一定温度に上げて、数時間かけてウレタン樹脂化反応を起こすわけです。1日3、4種類は同時にやります。」
「翌日、重合したウレタン樹脂にシンナー、艶消し剤を入れて表面処理剤を完成させます。
次にウレタンまたは塩ビなどのレザー基材に、この表面処理剤を塗布し、乾燥機に入れて、シンナーを熱で蒸発させ、出来上がりです。
これを手で触ったりして性能を評価し、その結果を見て次の日の配合量を考えるわけです。」
つまり、2日かけて、3、4種類の試作品を作って実験。次の試作品の配合量をその結果から決めて、更に実験を重ねる。この繰り返しである。
しだいに理想の結果に近付くこともあれば、一進一退でまったく進まないこともあるわけだ。
「毎日、寝る前に1時間ほど実験のことを考えたり、専門の本を読んだりしています。会社から離れた時に、ふとアイデアが浮かぶことが多いですね。」