【 実験室 】
セイコー化成の中心事業は、樹脂塗料。その柱の1つが、人工皮革で作られた靴や鞄などの表面処理剤である。
人工皮革は、きわめてトレンドに左右される分野だ。技術部課長が言う。
「以前にスエード風が流行したでしょう。あの時、靴や鞄などで擬似スエードに使われる樹脂を開発したのも当社です。
スエードの人工皮革はもともとありましたが、価格が高かった。それを品質を変えずに低価格で出せるようにしたわけです。」
当初の開発担当者は、
「何となくフラスコでポリアミノ酸を合成しているうちに、面白いものができたんです。その後、営業からスエード調の話を聞いた時、これを思い出した。
ちょっとしたヒット商品になりました」。
自分の開発した擬似スエード用樹脂を使った商品を、神戸のバッグショップで発見した時の嬉しさ。
これは新人の時と変わらない。
スキーウェア、ゴルフウェア、そして靴、鞄・・・・・・衣料の分野は、常にファッションのトレンドに左右される。
いかに新しい感触の樹脂を開発するか。これがセイコー化成の課題といってもいいだろう。
【 セイロック55 】
床仕上げ材用ウレタン樹脂系接着剤"セイロック55"。
店舗一階の床、マンションの外廊下など下地の湿気や雨掛かりで耐水性が必要な所に使用される。数年後改装時に言われることは、「もっと剥がしやすければいいな。」
しかし、本当にこだわっているのは、使い勝手。
職人の体感的表現「重い軽い、早い遅い、強い弱い。」を化学的配合に変換していく開発担当者は、強力接着で且つ剥がしやすい接着剤も研究している。間違いない。